子どもの幸せ度を高める、はじめ塾の教え
「幸せをつかむ力 はじめ塾80年のキセキ」 落合篤子著、日本評論社
はじめ塾とは
はじめ塾の塾生は、寄宿は中学生から高3まで受け入れ可能で15名、通いは小学生からで常時数名はいるとのこと。学校に行く子もいれば、行かずに塾で勉強をする子どももいて、人数の割合はその時々で異なるのだといいます。
塾長は初代、二代目、三代目と引き継がれていますが、それぞれに研究を重ねられ、また経験から得た知識をもとに独自の教え方、育て方をされてきました。
幸せの扉を開く「3つの鍵」~初代塾長の言葉~
はじめ塾の勉強部屋に掲げられた、初代塾長の言葉です。
1番目の「ケチな根性はいけない」とは、力の出し惜しみをしないで、持っている力を出し切るということ、だそうです。
2番目の「イヤなことは避けないで」とは、好き嫌いの気分に流されずにやるべきことをしっかりやるということで、
3番目の「 ヨイことはする」というのは、何が良いことかというのは、その場の状況によって変わるため、「今ここ」を全力で生き切ることで、次に何をするかのエネルギーが湧いてくるーそれが「ヨイことは」するということなのだそうです。
持てる力を全て出し切ったら、どれほどの清々しさが待っているでしょうか。
幸せの扉を開く体験が、子どもの頃からできるといいですね。
3つの「カン」を育てる~二代目塾長の教育~
これらの3つの「カン」のうち、「感」と「勘」は動物の本能のような能力。 それに対して「観」は人間だけが開発することのできる能力で、これをいかに開発できるかで、その後の人生の幸せ度が決まるといいます。
「観」という、14歳くらいからの思春期から育ち始めるこの能力を伸ばすには、「自分のことを全面的に肯定してわかってくれる人」との出会いが必要。それは、自分と向き合い、認めたくないことでもありのままに受容できたときに、人は「観」を身につけることができるからなのだそうです。
そのためはじめ塾では、親元を離れて暮らし、様々な悩みに直面するこの時期の子どもたちが、安心できる環境のなかで自分と向き合う機会を持てるようにすることを非常に重要なことと捉えています。
バーチャル時代の子どもたちを育てる~三代目塾長~
携帯電話、インターネット、ゲームの普及などにより、バーチャル体験の割合が急激に増加するようになって、実際に手足を動かし、汗を流し、五感をフル動員する実体験が不足しているといいます。
初代、二代目の教えを引き継ぎ、三代目塾長の正宏さんは、さらに現代の子どもの実態に合わせて、農業、食育を中心としたスローライフな寄宿生活にいちだんと力を注いでいます。
実体験には、知識と現実の間の溝を埋める重要な効果と役割があるーとは著者の言葉ですが、
決まったマニュアルに沿ったものではなく、「生きる」ことに全力でぶつかっていくという体験を、あらゆる場面で、幾度となく繰り返していくことで、より「幸せをつかむ力」が増していくのでしょう。
はじめ塾の「3つの鍵」と「3つのカン」は、家庭においても、子どもの幸せ度を高めるための道しるべになるのではないでしょうか。 (2018.3.5)
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