あとまもなくで平成の時代が終わりになります。
結学舎は、平成の最後の約3年間、新しい時代へつなげるための取り組みをしてきました。
これを機会に、この3年間の総括と新しい時代への決意をのべてみたいと思います。
平成最後の日に目にした出来事
平成最後の日、ある高校生のスポーツの交流試合をたまたま見る機会がありました。
連休の最中というのに、選手たちは一生懸命がんばっていました。
でも、途中から試合に集中できなくなってきました。
その理由は・・・
対戦した両チームの監督(コーチ?)の指導でした。
ひとつのチームの監督は、コートにはいるぐらいな勢いで身振り手振りで檄を飛ばします。
「なんで、そこ、もっと激しく行かないんだ!!」
「何回、行ったらわかるんだ!!!」
「それが、お前が試合に使えない理由だよ!!!!」
文字に書くとそれほどでもなく感じるかもしれません。
でも、聞いている方としてはかなりつらい思いをしました。
そして、
試合中、一度も褒めることがなかったのです。
そればかりか、
点数を取ったのにも関わらず、点数を取った選手に罵声を浴びせていました・・・。
もう一チームの監督は、ベンチにどかっと座り、
ミスしたプレーヤーを交代させ、
そのプレーヤーを立たせながら、何事か話していたようでした。
声は聞こえません。
でも、その説教は数分に渡り、
試合後の全体ミーティングでも、その指導者は選手を立たせながら、
自分は立つことはありませんでした。
そして、試合後、選手たちにランニングを命じたのです・・・。
別のチームの試合でも、指導者は同じ感じでした。
全能の神として振舞う者と何も考えることのない(できない)人たち
平成最後の日の出来事は、とても強烈でした。
指導者は、勝つために自分の理想とする戦術で戦います。
勝つために、厳しくプレーヤーに指導します。
プレーヤーは、勝つためにと信じて、指導者の指導に従います。
それが、罵詈雑言を浴びせられたとしても、人格を否定されたとしても、非科学なトレーニングだったとしても・・・
そのうち、プレーヤーは自分で考えることを止めてしまいます。
自分が考えて選択したプレーで失敗して叱られるなら、指導者の指示に従って失敗したほうがダメージは少ないに決まっています。
「勝つために考えない」
平成はもとより昭和の時代からこの地方のスポーツは何も変わっていません。
これはスポーツに限りません。
ブラックな企業は、部下の自由な発想より、上司の「経験」と「勘」が優先されます。
小さな職場はもちろんのこと、
会社全体がトップの意向のみにばかり忖度し、数字をちょこちょこいじくりまわしたような中身の何にもない「提案」を出して、トップのご機嫌を損ねないようご機嫌を伺いに走ります。
これは、会社や法人に限った事ではありません。
住民から選挙で選ばれた地方自治体のリーダーは、全権を手にしたかのように、自分のやりたいように街を作っていきます。
住民は住民で、どんな街を作ってくれるのかなぁ・・・と、夕食を待つ子どもよろしく、何もない皿を目の前にフォークとナイフをもって、待っているだけです。
全能の神のように振舞う指導者、経営者、自治体のリーダーと何も考えることのない(できない)プレーヤー、社員、住民・・・・。
プレイヤーズファースト、働き方改革、地方創生が謳われている平成末期においても、全然変わっていない現実が、今目の前にあります。
結学舎は「前時代的な社会」を「未来のための社会」に変えていきたい
私たち、結学舎は、「考える力」をまず育てていきたいと思い、「体験塾」や「マイスタ」まどで、夏休みや冬休みの長期休暇を利用して、子どもたちにいろいろなことを体験する機会をつくってきました。
子どもたちに考える機会を与える、という理想をもって採算度外視で行ってきましたが、私たちが考える理想と保護者や子どものニーズとのギャップもでてきたことから、現在は休止している状況です。
また、青少年育成という観点から「アクティブホリデースクール」という親子事業に取り組むなど生涯学習の活動もしてきました。
そして、昨年5月には、花巻総合型地域スポーツクラブ「Northern Rise」を設立し、プレーヤーズファーストの観点から中学校等の部活動の問題を正面から取り組むとともに、障がい者や健常者といった壁を取り払い共生社会を目指すため、「ボッチャ」などのインクルーシブスポーツに取り組んでいるほか、未就学児、小中学生、一般のそれぞれの年代にあった適切なスポーツをする機会を提供しています。
それから、地域づくりとして、花巻市内の住民団体のサポートをしながら、前例踏襲、上からの押し付けではなく、自分たちの地域を自分たちで考える住民の育成活動に、力を入れています。
これまで3年間の取り組みは、決してうまくいったものばかりではありませんでした。
いや、数多くの失敗を重ねてきました。
しかしながら、私たちには「失敗ができる強み」があります。
チャレンジしないと失敗をすることはありません。
しかし、イノベーションはチャレンジすることからしか生まれません。
指導者や経営者やリーダーの目を気にしなければならない組織からは、イノベーションなど生まれるはずもありません。
リーダーが万能の神のように振る舞い、スタッフや住民のパワーを軽視する自治体が「魅力ある街」になる訳がありません。
わたしたちは、上下関係による組織、コミュニティといった前時代的な慣習、風土、エートスを変える為の取り組みをしながら、地域や社会のことを自分ごととして考える人財を育成し、未来を生き抜いていくための「生きる力」をもった子どもたちを育てていくとともに、スポーツや文化を通じてだれもが楽しみながら暮らしていける社会を実現する・・・。
そんな理想が「令和」の時代に実現するよう、さまざまな活動をこれまで以上にしていきたいと思っています。
一般社団法人 結学舎 代表理事 似内一弘