「ありのままがいちばん。」 TERACCOの本棚 -14-

自分の本質にあった生き方をする

「ありのままがいちばん。」 天谷保子著(WAVE出版) 

 

「ありのままの自分でいたい・・・。」

誰しもそう思っていても、なかなか思い通りにはいかないと感じる人が多いのではないでしょうか。

「どうしてかわからないけど、自分らしく振る舞えない。」
「そもそも、本当は自分がどうしたらいいのかもわからない。」

 

子どもたちに、最高の保育を

著者は長年保育に携わり、
『いやいやえん』や『ぐりとぐら』の作者の中川李枝子さんが主任保母をしていた「みどり保育園」の代表者だった方です。

戦後間もない頃で、日本中が貧しく、保育園を始めるのにも大変な苦労をされたそうですが、
明るく、保育への情熱が溢れる中川さんとともに、15年間、みどり保育園で保育されたとのことです。

数々のエピソードから、子どもたちがのびのびと園での時間を過ごしていた様子が伺えます。

 

おやつの時間も子どもたちに大人気でした。いちばん思い出されるのはホットケーキです。

大きなフライパンに2~3枚焼いて、みんなで分けて食べました。

こどもたちにとってホットケーキははじめての食べものだったようで、あまりにおいしくてびっくりしたと、家に帰ってからさんざん自慢していたようです。

<中略>

このときの子どもたちのうれしそうな様子は、中川さんの絵本『ぐりとぐら』の中で、森の動物たちがカステラを分け合って食べるシーンとなって登場しました。

 

あまりにも有名で、こどもたちも大好きなあの「カステラの場面」は、こんなふうに生まれたんですね。

中川さんはこうやって自分でお話を作り、絵本の時間になるとこどもたちに聞かせては、もっととおねだりされていたそうです。

 

 

からだが整うと人生が整う

著者は、こどものころから体の不調に悩まされ続けていたところ、中川さんを通して野口晴哉氏に出会います。

そして整体を受けるようになってから、長年の不調を抜けて、ご自身が本来もつからだの力を取り戻したといいます。

 

きっとそれが、子どもの本質にそった保育をするという指針にもなっていたのでしょう。

子どもの興味には理由があり、無心で何かやっているときには、こころやからだが望むからそうしているのだと、
その子のしたいように遊ばせて「見守る」ということに徹していたようです。

その結果、子どもたちは本来もつ資質をぐんぐん育て、将来の道へとつながっていきました。

 

みどり保育園を閉園することになった後は、こんどは大人のからだをみようと整体の指導者の道へと進みます。

 

TERACCOの本棚でも、何冊か整体に関する本をご紹介していますが、
野口整体による「体癖」というものをみると、その人が本来持つ資質や感受性がだいたいわかるといいます。

(参考:「本当の自分に目覚める 体癖論」 TERACCOの本棚-12-

「幸せをつかむ力 はじめ塾80年のキセキ」 TERACCOの本棚 -8-の二代目塾長も野口整体を学んだ方だそうです。

 

からだのよく使う部分には当然疲れが出ますが、その一方では発達もします。

この体癖による疲れ「偏り疲労」や生活習慣からくる疲れを蓄積させぬようからだを整え、自分の体癖を活かして生きることで、努力は楽しみになり、苦労を苦労と思わず、それがなんであれ楽に力をのばすことができます。

体癖とは生まれ持ったその人の本質を表すものなのです。

 

ふと気づくと、なんだか窮屈な思いをしていたり、
こんなはずじゃなかった…と思うようなとき。

もし体癖がわからないとしても、
「自分は本当はどうしたかったんだろう…。」と、
ずっと昔の子ども時代を思い返してみると、自分の本質が浮かび上がってくるのかもしれません。

(2018/10/3)

 

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