「できたことノート」 TERACCOの本棚 -5-

自己肯定感を育み、「自分らしさ」を発揮するために ~1日5分の習慣「できたことノート」~

「できたことノート」 永谷研一著(クロスメディア・パブリッシング)

第1章の冒頭はこんな見出しで始まります。
―あなたの「思考のタイプ」はどっち?―それは「あるある思考」と「ないない思考」のふたつ。
「ないない思考」とは、マイナス思考と呼ばれることも多い、
・仕事を手伝ってくれない、相手がわかってくれない、給料が少ない、といった形で、「○○ない」と考えてしまうこと。
「あるある思考」とは、プラス思考とも呼ばれる、
・期待されて仕事を任せられている、私の話を聞いてくれる人がいる、成果に見合った報酬をもらっていると心が楽になる思考。
著者は、問題なのは、人は無意識に「ないない思考」に陥りやすいことと指摘しています。そして、「足りない部分」に目がいくのは、人間の脳の特性として避けられない面もあるとしながらも、こう主張しています。

子どものころから鍛えられた「残念な視点」

幼稚園や保育園では、基本的に何をやっても「マル」だったはずです。「正しい泥だんごのつくりかた」など習いませんし、「あなたの泥だんごは60点」と言われることもありません。歌が歌えるようになった、太鼓ができるようになった、登り棒に登れるようになった……。すべて「マル」ですから、「学び」は楽しかったはずなのです。

しかし、小学生になると様子が違ってきます。テストの解答用紙にたくさん「マル」がついていたので、ワクワクして家に帰ってくると、「こんなところを間違えて!」と言われたり、「お兄ちゃんはいつも100点だった」と兄弟や友達と比較されたりし始める……。

本来は楽しかったはずの学びが、学校に入って点数の序列の中でマイナス面を指摘されるようになると、受け身になってしまうのです。 こんなことが続くと、私たちは無意識のうちに、傷つかないように自分を守ろうとします。「それは習ってない」と言い出したり、ちょっと計算を間違えたくらいで「私は算数が不得意だから」と言うようになったりするのです。 これらは、自分が傷つかないようにするための言葉なのですが、切ないですよね。

著者は自身のことを「行動を変える専門家」だと言っています。
なんとなく「自分はダメだ」と自信がなくて動けない人でも、ちょっとした「できたこと」を見つめることで、大きく変わっていけると、「できたことノート」のメソッドをこの本で紹介しています。

この「できたことノート」、書き続けていくと「自分スタイル」が見え、自分の使命がわかるようになるといいます。
それならば、やってみよう、1日5分で「よい習慣」を無理なく身につけられるなら!
でも「いやいや、そう簡単にできないよ~」という内なる声が……これも「ないない思考」かと笑ってしまいました。
この本を読むと、「ないない思考」から早く抜け出したい、そう思います。  
(2017/12/13)

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