「三色ボールペン情報活用術」 TERACCOの本棚 -6-

混沌とした思考をスッキリ!―自分の判断基準を浮き彫りにする、赤・青・緑の使い分け

「三色ボールペン情報活用術」 齋藤孝著、(株)KADOKAWA

「自分にとって必要な情報」は何なのか―?
あまりに情報が多すぎて、必要なものをつかみ取ることが難しい今の世の中・・・。
本書で著者は、三色ボールペンを使って情報を活用することの狙いを、こう書いています。
「資料を読むとき、何かを書くとき、話をするとき、主観と客観をきちんと分けることができるようにする」

「赤・青・緑の使い分け」


赤―客観的に見て、最も重要な箇所
青―客観的に見て、まあ重要な箇所
緑―主観的に見て、自分がおもしろいと感じたり、興味を抱いたりした箇所
上記の基準で、線を引いたり、丸で囲んだりして、情報をふるい分け、自分の中に取り入れていきます。
こうすることで混沌とした頭の中が整理され、情報を的確に要約・再生して、物事を構造的に理解する訓練になるそうなのです。すなわち、全体構造をつかむ俯瞰力を身に付ける、ということです。

著者は、日本人の俯瞰力について、このように述べています。

日本人の場合は、この構造的に捉えるということがわりと苦手だ。外堀から埋めていくような話し方に慣れているので、要約にしても、時間的な経緯でそのまま引き写してしまうことが多い。そのために、要約するときにも、いちばん肝心なところから入るのではなくて、あまり重要ではない前置き的なところから入り、そこを長くしてしまう傾向がある。

日本人にとっては特に、三色ボールペンは、
「(取り入れた)情報を構造的に把握し、自分の主観を洗い出す訓練をするための絶好のツール」
と言えそうです。

中に、おもしろいと思った活用方法がありました。
「捨てるかどうかは緑で決める」

緑があまりマークされていないものは、自分の暗黙知があまり反応しなかったということ。 これは自分とは縁がなかったものと思って、捨てる。 この判断基準だと、捨てるかどうかまず迷うことがない。
著者は特に、“緑”を使うことを重視して、その効用を数々紹介していますが、ともすると周囲の意見に呑まれてしまいがちなところ、自由な発想、自分だけのアンテナに磨きをかけるためには、“緑”を使って、自分だけの判断基準にスポットライトを当てることが有効なのだと思いました。
本書には、三色ボールペンを使った「三色手帳術」も披露されていて、著者のアイデア満載の読み応えのある一冊でした。  (2017/12/21)

 

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